朝の散歩(フジオのブログ)

日記、感想、創作など。

『ムーミン谷の夏祭り』の感想

気付けばもう6月も下旬になっていました。

6月って雨や曇りのイメージ、近年だと豪雨のイメージもあるのですが…、その分たまにある晴れた日の陽の長さにスペシャル感を感じて、結構好きかもしれません。さすが夏至のある月ですね。

 

先日から、そんな夏至のタイミングにピッタリの本を偶然読んでいました。

 

bookclub.kodansha.co.jp

 

トーベ・ヤンソン:作/下村隆一:訳『ムーミン谷の夏祭り』

 

です。

 

すごく久しぶりに読んだので内容をほとんど忘れており、とても新鮮な気持ちで楽しめました。夏至の頃、火山噴火に伴う洪水に見舞われるムーミン谷。(中々ヘビーな世界だ)。それでも楽しくしぶとく生きるムーミンたち。ムーミン(とスノークのお嬢さんとフィリフヨンカ)が、ことの成り行きで投獄されててちょっと面白かったです。

 

あとは夏(夏至)祭りとして大きな火をおこしてお祝いしたり、約束事を守りながら花をつんだり井戸を覗き込んだりして占いをしてみたいな、土着文化っぽい様子が描かれているのが楽しかったです。演劇以外にもいろいろしてた!

 

これはシリーズを通しての話ですが、ムーミンの話って結構面倒臭いキャラが出てきますよね。根っからの悪人ではないところが余計タチが悪い。そう、現実でまあまあ出会うタイプの。(自分もきっとそのタイプ)。でも、そういうキャラもみんな、あからさまな肯定も否定もされず、当たり前のように存在している感じがすごい。すごいよトーべヤンソン

 

セリフや文章が全部格言のようにも読めるので、読みながら何度も途中で止まってしまうのですよね。ある意味読みにくい、不思議な文章。いつか原文も読んでみたいなあと憧れます。スウェーデン語。

 

ファンタジーの世界の話ではありますが、自然の厳しさも書かれつつ、美しさも書かれているのが素敵ですよね。うっとりします。水の中の苔を踏んで歩く描写とか、どんなだろうと想像が膨らみます。

 

そんな想像力を駆り立てられる文章の合間合間に、イメージを補完してくれるように挟まれる挿絵がとにかく可愛かったりおしゃれだったりで、ページをめくる度に新鮮に驚いて、見入っちゃいます。「中身は見えないけど、このバスケットに入っているサンドイッチは美味しいに違いない」「ミムラ姉さんはおしゃれさんやなあ」みたいな。全部可愛いけど甘すぎない感じが本当に好きです。

 

トーベはこんな素敵な絵も描けるし話も書ける、または素敵な世界観のお話が書けてその上イラストもやばい、“描く”と“書く”の両方が強いのが本当にかっこいいなあと思います。

 

ムーミン谷の夏祭り』を読んでいる時間は、本当に穏やかな気持ちになれました。同時並行で別の本も読んでいて、そちらは結構辛い内容だったので、ムーミンでバランスが取れました。

 

おしまい。