朝の散歩(フジオのブログ)

日記、感想、創作など。

恋の三角形・四角形『三つの小さな王国』

読んだ本の感想文です。

 

スティーヴン・ミルハウザー 著 / 柴田元幸

『三つの小さな王国

 

www.hakusuisha.co.jp

 

よく分からないけど読み進める、読み進めるけどよくわからない。…私にとってはそんな作品でした。この作品の良さを自分なりに解説する授業があったら、私の成績はc+くらいだと思います…。もう表紙の絵の意味も全然わかんない!でもここに記録を残したいと思うくらいには、妙に心に引っかかる作品でした。

 

なんだか文章がたんたんタンタン淡々…ずっと同じリズム。物語の中の現実と空想が入り交じる感じといいましょうか。その分描写が詩的で美しかったです。文字を読んで頭の中で風景を想像する楽しみを味わえました。最初の話の序盤に出てくる、主人公が真夜中の月明かりの下屋根の上を散歩する描写とか気持ちよかったです。

 

本作は中編3つが収められています。1つ目は、舞台は1920年代のニューヨーク、新聞で漫画連載していてアニメ作りにも情熱を捧げる男性が主人公の物語です。2つ目は、中世ヨーロッパ舞台のおとぎ話風の作品。最後が少し特殊で、ある画家の展覧会のカタログ内の解説文の体で、絵画1枚1枚、計26枚くらいの解説を通して物語が進んでいきます。

 

3作品とも話の舞台は異なり、独立した物語ですが、全て”主要登場人物が3または4角関係でこじれる”という共通点がありました。みんなこじらせていて滑稽なような、少し切ないような。

 

そもそもこの本を読もうと思ったのは好きなアーティストさんがおすすめしていたからなんですが、そうでなければ、きっとたどり着かなかったであろう作品でした。そのアーティストさんの感想を聞いてみたいなあ…!他の人の感想も知りたいなあ、と思いました。

 

おしまい。