朝の散歩(フジオのブログ)

日記、感想、創作など。

『女ふたり、暮らしています。』読みました

最近読んだ本の感想です。

 


キム・ハナ/ファン・ソヌ

『女ふたり、暮らしています。』

 

books.cccmh.co.jp

 

タイトル通り、作者による女性二人暮らしにまつわるエピソードが綴られたエッセイです。

 

私もかつて「結婚関係なく、誰かと一緒に暮らすなら誰がいいだろう?」とよく妄想したものです。(そしてその妄想の行き着く先は、「(私に協調性がないから)そんな人いない」でしたが。)

 

だから、そんな二人暮らしを実践した人たちの奮闘記はすごく楽しく読めました。しかもやるのが自分より遥かに賢く、明るく、センスよく、バイタリティに溢れた人たちですからね。

 

しかもこのお二人は古い友人同士とかではなく、別々の仕事をしていて、一緒に暮らす前は、(共通の友人のいる)何度か顔を合わせたことのある、親しめの知り合いくらいからのスタートなんです。すごい…!仮に自分の友人がそのような選択をしていたらビックリしませんか。

 

本書は、キム・ハナさんが誰かと一緒に暮らすぞという気持ちが生まれ、知り合いをあたりファン・ソヌさんを誘うところから始まります(+それまでのお互いの経緯も)。それから語られる物件選び、マンション購入(ローン生活)、内装改造、引越し、そして始まった共同生活の悲喜交々が面白いんです。

 

サラサラと読み心地よく、それでいてふふふと笑える感じもあって、読んでいる時も読み終わった後も、大きな感動や衝撃とかはないけど、心が少し明るく優しくなりました。

 

そして時々挟まる写真が素敵。おしゃれで健康的そうなお部屋で羨ましい。イラストもかわいいです。

 

 

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最初に二人の共通点の多さについて書かれていました。→歳が近く(76年と77年生まれ)、同じ大学の同じ学部を卒業、仕事をバリバリこなす、趣味が近い(音楽とお酒)、共通の友人も多い、馴染みの店も一緒、そしてお互い20年近く一人暮らしをしながら猫を二匹飼っていて、そろそろ共に生活するパートナーがいればと思っていた。

 

その箇所を読んでいた時は「すごい、この二人はソウルメイトだわ。一緒に暮らすのは運命よ。」くらいに思えました。

 

それが、いざ一緒に暮らしてみると二人のライフスタイル・性質がかなり違っていたようで、大喧嘩になったことまでガッツリ書かれています。(一緒に暮らす前にも相手のその性質は知っていたけど、いざ暮らし始めると耐えられなかったみたいです)。

 

読む分にはどちらの言い分もすごくよくわかる!このエッセイは全編を通して出来事1つひとつが2人それぞれの視点で書かれているので、その感じ方の違いも分かって楽しいです。

 

ひとりが少ない物を大事にしながらキッチリ暮らしたいとしたら、もうひとりは物は多くても気にならないけど、それらをうまく管理できない。みたいな。

 

どんなに共通点が多くても、暮らし方が合わないと共同生活は大変ですよね。これは性別関係なく、誰にでも当てはまる話でしょう。

 

この衝突シーンも重い感じではなく、なんなら面白く書いてあるので笑いながら読めました。(と、同時に「人のふり見て我がふり直せ」状態になりました)。

 

そしてもちろん、共同生活をしてのメリット・相手への尊敬の気持ちもお互いたくさん書いてあります。結婚という形を取らず同姓同士で暮らす選択をしたならではの喜びも。

 

韓国の法律や文化事情に疎いですが、結婚制度についてはおそらく日本と近い面もあると思います。そういう意味では、この女性二人暮らしのあり方をデメリット含め赤裸々に書かれているのはすごくありがたかったです。日本にも従来の結婚制度とは異なる共同生活に興味がある・検討している人はたくさんいるでしょうから。

 

これからもこのお二人の共同生活を応援したいというか、見守りたいというか、いや単に好奇心で追いかけていきたいなと思える内容でした。

 

 

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とにかく楽しい読書体験でした。これからもまた素敵な書籍と出会えますように。

 

おしまい。