朝の散歩(フジオのブログ)

日記、感想、創作など。

ポインミー、ピクニックに行く

唐突に創作も載せます。

 

 

ある春の日、ポインミーはいつもより早く目が覚めました。


朝ごはんを食べた後、窓の外を眺めると、とても気持ちの良い天気です。

 

「そうだ、今日はこれからピクニックに行こう」

 

そう思い立ったポインミーは、さっそくお弁当の準備に取りかかりました。

 

まずはお米とお水を入れた炊飯器を早炊きモードにしてスイッチをピッ。

 

水筒に入れるお茶用のお湯もやかんでわかしましょう。

 

かんじんのお弁当箱も食器棚の奥から取り出します。

 

大きくてがっしりした四角いお弁当箱。

 

久しぶりに使うからわくわくするね。

 

次にポインミーはおかず作りに取りかかります。

 

冷蔵庫から出した卵2つを器に割って入れて、塩とコショウをふりかけて、さい箸でチャカチャカかき混ぜます。

 

それからフライパンにバターを置いてコンロの火で溶けてきたら、ジョアァァーという音をたてながら一気に卵液を注ぎました。

 

それを菜箸でぐるぐる回していくと卵がどんどんポロポロになっていき、あっという間にいり卵の完成です。

 

いり卵を取り出したフライパンで、ついでにウインナーも焼きました。

 

お弁当の中には好きなものがたくさん入っていると嬉しいですからね。

 

 

ちょうどウインナーが焼き上がったタイミングで炊飯器がピーと鳴り、炊きあがりを教えてくれました。

 

炊き上がったご飯をお弁当箱に詰めると、その上にポインミーは手でちぎった海苔を覆いかぶせていきました。

 

さらに醤油をピトピト垂らして、ごま油もポチリポチリと何滴か落とします。

 

最後にさっき作った炒り卵を乗せて、のりたまごはんができました。


あとはさっきのウインナー、ミニトマト、昨日の夕ごはんで残った茹でブロッコリーをお弁当箱のはじっこに詰めて、完成です。

 

粗熱をとったお茶を水筒に入れて、デザート用のみかんをテーブルの上のカゴから取り出しました。

 

お弁当のご飯が冷めるのを待つ間、ポインミーは台所の片付けを済まし、ピクニックに必要な残りの持ち物、例えばはんかち、ちり紙、しきもの、筆記用具、虫眼鏡(小さくて見慣れないものに出会った時に使います)、薄手の毛布(肌寒かったら使います)、つぶつぶチョコ(小さな小さなチョコレート、帰り道でおなかが空いた時用です)などをお部屋のあちこちから引っ張り出して、ナップザックに入れていきました。

 

最後にお弁当をお気に入りのスカーフで包んでナップザックに大事にしまい、いよいよピクニックの準備ができました。

 

戸締りをして、さあ出発です。

 

今日のピクニックは少し遠くにある、初めて行く公園でやろうと、お弁当を作りながらポインミーは決めていました。

 

家の門を出るとさっそく、おとなりに住んでいるリンダおばあさんに会いました。

 

「あらポインちゃん、おはよう。今日はおでかけ?」と、リンダおばあさんはニコニコ聞きました。

 

「うん、ピクニックだよ。」と、ポインミーは少し得意げに返事をしました。

 

「まあ素敵ねぇ。」とリンダおばあさんは優しく見送ってくれました。

 

素敵、と言ってもらえたのが嬉しくて、ポインミーは頭の触覚をポインポインしながら先に進みました。

 

 

 

しばらくすると次は少し遠くに畑仕事をしているドムおじさんをみつけました。

 

「ドムさーん、おはよう!」ポインミーが手を振りながら声をかけると、

 

「おう、ポインミー、今日も元気だなあ」と、ドムおじさんも大声で返してくれました。

 

ポインミーはなんだか舞い上がってしまい、ポイン、ポイン、ポイーーンとたまにステップやジャンプもしながら歩き続けました。

 

(目的地に着く前から、ピクニックって楽しいな)なんて思っているうちに、公園に着きました。

 

ポインミーは入り口のそばのベンチに腰掛けて、休憩がてら公園の様子を眺めてみます。みんな、アスレチックで遊んだり、広場でバドミントンをしたり、ベンチでおしゃべりをしたり、ただ歩いていたり・・・、楽しそうです。

 

 

それから公園の中に入っていくと、遊具の他にもたくさんの木々、植物、池、公園を突っ切る川なんかがありました。

 

昨日生まれたばかりみたいな柔らかな若葉や、明日には開きそうなポンポンの花のつぼみ、流れる水、それらを照らす日光・・・。

 

眺めているだけで、ポインミーの心もキラキラしました。

 

その後も見慣れない虫や鳥の観察やメモに夢中になって、気づけば時間が経っていました。

 

もうポインミーはおなかがぺこぺこです。

 

さあ、お弁当を食べましょう。

 

 

 

お手洗いで手を洗ってから、ポインミーは広場の端まで移動し、しきものを広げました。

 

そこに座るとナップザックからお弁当、お箸、お茶、みかんを取り出し、お弁当をくるんでいたスカーフの結び目をほどきました。

 

そしてお弁当のふたを取ると、さっき作ったお弁当が入っています。

 

まあ、おいしそう。

 

それじゃあ、いただきます。

 

ぱくぱく、もぐもぐ。

 

バターのコクで包まれた炒り卵・ごま油の風味と醤油が染みこんだ海苔・冷めてももっちり仕上がっているご飯が、口の中で一緒になって歌をうたっているみたいです。

 

のりたまごはんの合間に食べるミニトマト・ウインナー・ブロッコリー、どれも入れてきて大正解でした。

 

 

(良い天気の日に外で食べるお弁当はおいしいな。)

 

ポインミーは思いました。

 

 

 

 

お弁当を食べた後は、お茶をお供にミカンをのんびり食べつつ、ぼんやりと空を眺めました。

 

空の色は吸い込まれそうなくらいきれいで、雲の形は刻一刻と変わり、見飽きることはありません。

 

風もさわやかにポインミーを横切っていきます。

 

しばらくすると、あまりの気持ちよさに、ポインミーはこのまま空気に溶けてしまいそうになりました。

 

そこでナップザックから毛布を取り出し、しばらくお昼寝することにしました。

 

すやすや、すやすや。

 

短い時間だけどしっかり寝た後、突然パチと目が覚めました。

 

ウーンと伸びをして、最後に広場で喜びのポインミーダンスを踊ってから、ポインミーは公園を後にしました。

 

帰り道、ポインミーはつぶつぶチョコを食べながら、行きよりも少しゆっくり歩きました。

 

普段あまり通らない道なので、初めて見るパン屋さんや機械の修理工場を見ているだけで楽しいからです。

 

家に戻ってからは、ピクニックの片付けをしたり、お部屋の掃除をしたり、夕ご飯を作って食べたり、読書をしたりしていると、時間はあっという間に過ぎていきました。

 

夜、ポインミーは日記に今日のピクニックついて書きました。

 

とても楽しかったこと、お弁当がおいしかったこと、また行きたいことを。

 

そして、満足してベッドに入るとぐっすりと眠りました。

 

今日も平和な1日で良かったね、ポインミー。

 

おしまい。