最近読んだ本のメモです。
トーベ・ヤンソン/著 冨原眞弓/訳
『軽い手荷物の旅』
作者はムーミンシリーズでお馴染みのトーベ・ヤンソン。彼女のムーミンじゃない作品集(短編集)でした。
私はムーミンは一応一通り読んでましたが、それ以外のトーベの小説は初めてで、どんな感じだろうとドキドキしていました。
実際に読んでみると…、
…面白い!
ムーミンシリーズはムーミン谷という架空の世界で、ムーミンはじめ架空の生き物たちが活躍する物語じゃないですか。
一方、この短編集のほとんどの舞台が現実の世界で、登場人物も人間。
ムーミン谷の住人たちって結構面倒な性格のキャラが多い印象なんですが、あくまでキャラクターだからというので受け入れられていた部分がありました。
が、この短編集に出てくる登場人物は、性格の面倒臭さはムーミン谷メンバーそのままに、人間のままで描かれるという…。
やっぱりより生々しく想像できる分、
う、なんて嫌なやつ…!
(めんどくささが)私みたい!
私もこう思われてそう!
ああ、本人に悪気はないのに悲しい展開…!
または、相性の悪い組み合わせ…!
といった気持ちでいっぱいになり、読んでる間ずっと心がザワザワ・ヒリヒリしました。
トーベさんはなんでこんな色んなバリエーションの生きづらそうな人の解像度が高いんだ。
それでいて読後感がめちゃ悪いとかではないんですよ。「ありますよね、こういうままならなさ」と、全てを受け入れているような優しさ?諦め?が物語のベースにあるからでしょうか。
ただ、今回も私の読解力のなさでオチを掴みきれてなかったなという話も何話かあります。(私の読書あるある)
それでも読むこと自体が心地良いような、キリッと・スキッとした文章(日本語訳)、ムーミン谷じゃなくても描かれる美しい自然描写(小島での暮らしとか。縁遠い自然なのでうっとりします)が好きなので、最後まで楽しく読めました。
個人的に特に好きだったのは
・見知らぬ街
・思い出を借りる女
・軽い手荷物の旅
・植物園
あたりです。
こちらシリーズものの1作目なので、続きも追々読んでいこうと思います。
おしまい。